このお方の説明は今更不要かと思いますが、改めてその主張を見てみると無敵感すら漂っていました。
まず前提として、飯塚氏の主張は一貫して「車の故障が原因であり、自身には一切の非がない」というものです。その主張の一部を見て見ましょう。
- 走行中にアクセルとブレーキが入れ替わる不具合が起きた
- EDRも不具合が起きていて正しい記録が残っていない
- ブレーキを踏むと油圧で減速するが、これも不具合で減速しなかった
- 事故発生時にブレーキランプが付いていなかったが、これも電子系統の不具合
宿題をやってこなかった小学生の言い訳でしょうか?
などと思ったり、やっぱり思ったりもしましたが、少し詳しく見ていきましょう。
【1.走行中にアクセルとブレーキが入れ替わる不具合】
飯塚氏の根幹をなす主張ですね。
あるニュースサイトによると、以下のような記載があります。要は「同じ型のプリウスだけで見ても、確率的には1200億km分の1の確率で今回の事故が発生した」ということです。
「飯塚被告の2代目トヨタ「プリウス」だけで約119万台も販売されており、それぞれ10万km走ったとして約1200億kmに達する。同じような事故が起きていないため、池袋でブレーキ踏んで加速したのは1200億km分の1ということ。」
「そんなん言ったらなんでもアリやん…」と思ったのは私だけではないはず。
【2.EDRも不具合があって正しくない】
EDRというのはイベント・データ・レコーダーと言って、要は事故発生時にどういう操作が行われていたかを車に残す機能です。これによると、飯塚氏は事故当時にやはりアクセルを踏んでいたとのことなので、トヨタは真っ向から故障を否定しています。(そうじゃないとトヨタ側の車に致命的な欠陥があることになるので当然ですが。)
これに対する飯塚氏の主張が「EDRも不具合があった」です。いや、無敵かよ。
【3.ブレーキを踏むと油圧で減速するはず】
最近の車は色々なところが電子制御されていますが、それってちょっと怖くないですか?
飯塚氏を擁護するわけではありませんが、やはり電子部品は故障とは無関係でいられないので、もし電子部品が故障したときにブレーキがかからないというのは致命的です。
しかしそこはさすがにちゃんと考えられていて、思いっきりブレーキを踏めば、機械的な機構で物理的にブレーキがかかるようになっています。
これに対する飯塚氏の主張は…言わなくてもわかりますよね?←
【4.事故発生時にブレーキランプが付いていなかった】
事故発生は人がたくさんいる池袋。当然目撃者も多数で、「ブレーキランプが付いていなかった」とのことです。
壊れてたんですって。(←適当)
さて、色々ツッコミどころ満載ですが、実はまだとっておきのツッコミどころがあります。(お腹いっぱい)
もし飯塚氏の主張が正しければ色々な不具合満載のプリウス車ということになりますが、当然事故後に事故車の検証を行っています。その結果は当たり前ですが「不具合は認められなかった」というものです。
したがって、
飯塚氏が車に乗った時は何も問題がなかったが、いざ事故現場に行き着いたタイミングで
「ブレーキとアクセルが入れ替わる不具合」が発生し、
「EDRが正しく残らない不具合」が発生し、
「油圧式の機械的ブレーキが機能しない不具合」が発生し、
「ブレーキランプが正常に光らない不具合」が発生し、
かつ事故後に全てが直った。
奇跡かよ。
この主張と戦い続けている被害者遺族の松永氏の苦労が偲ばれます。
ご家族のご冥福をお祈りすると共に、松永氏の納得がいく決着がつくことを心よりお祈りしております。